3月5日 (金)  都立南葛飾高校定時制卒業式

大学卒業から去年の3月まで、20年間朝鮮語の講師として務めた南葛で、最後に教えた学年の生徒達の卒業式に来賓として出席。

私が南葛の生徒だった時の恩師木川先生のクラスでは、卒業式の数週間前から毎日放課後にホームルームが行われていた。私もゲストとして招かれ、生徒たちの討論に参加。本名で4年間過ごしたソンチョルが大学進学後も本名で生きていくかどうかという悩みを、他の生徒たちも自分のこととして受け止め、夜中まで真剣に話し合う場面に立ち会わせてもらった。

卒業生入場後、会場の体育館には「君が代」のテープが流れ、壇上には校旗の横に「日の丸」が掲げられていた。南葛での20年間一度も見たことがなかった光景だ。数人の生徒が、「君が代」が終わった後に入場。
恒例だった、校長が生徒ひとりひとりの席をまわって卒業証書を贈る場面も今年は無し。
来賓の教育委員会の先生の挨拶、卒業生の会の会長の挨拶、校長の挨拶、と続く。役人の言葉は、どうしてこうも空々しく聞こえるのだろうか...。4年間(或いはそれ以上)働きながら精一杯学んで卒業していく生徒たちに、自分の言葉、自分の声で語りかけることはできないのだろうか。唯一、卒業生の会の会長の、先輩としての挨拶が心に深く響いた。
在校生の送辞のあと、卒業生代表3人が答辞を読む。それぞれがこの学校との出会い、学校で学んだこと、これからの抱負を自分の言葉で語る。南葛の卒業式のハイライトだ。そのうちのふたりの生徒が、自分たちの卒業式が「日の丸」「君が代」で台無しになってしまったこに抗議をする。校長や管理職、教育委員会の人たちはどんな気持ちで聞いたのだろう。
最後に卒業生に贈る歌。矢野さんも応援に駆けつけてくれて、「イマココニイルヨ」を歌う。今日は日本語、朝鮮語、中国語、スペイン語で。南葛には、様々な国籍の生徒たちがいる。次に卒業生たちと一緒に、朝鮮語の授業で一緒に歌った「朝露」を歌う。
今ここに共にいる喜び...
かなしみを越えて、自分の足で立ち、歩いていくように...
いろんな想いをこめて。

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