5月28日 (木)  いなほ保育園

埼玉県桶川市にある「いなほ保育園」の園長の北原和子さんの本が出版されたお祝いに、作家の朴慶南さんと一緒にいなほ保育園に遊びにいってきた。
いなほ保育園を訪れるのはこれで三回目。
JR桶川駅から車で約15分。保育園の入り口には門も看板もなく、約二千坪の広い林の中に木造の園舎がポツンポツンと数棟立っている。入り口を入ってすぐの中庭には、馬やヤギ、駄馬、犬、などの動物が飼われている。
現在いなほ保育園には、幼児ばかりではなく、小学校に行かないこどもたち、学童のこどもたちも含めて約120名が通っている。
午後3時過ぎに保育園に着くと、0歳から1歳くらいのおちびちゃんたちはお昼寝、小学生たちはベランダでおやつを食べ、ホールでは2歳以上のこどもたちが和子さんの伴奏で元気な声で歌っていた。うわ〜、むずかしそうな合唱曲!
私たちが到着したのに気が付くと、和子さんがピアノの手をとめて「今日はステキなお客さまが見えたので、お昼寝はなしにしてもうすぐ劇場がはじまりますよ」と言うと、こどもたちは大喜びでやった〜1やった〜!とうれしそうにホール中を駆けまわっている。
「劇場」がはじまると、お昼寝していたおちびちゃんたちも起きてホールに集まってきた。
まずはアカペラで「星めぐりのうた」。こどもたちは宮沢賢治が大好きだ。不思議なことに、グズッたり騒いだりするこどもがひとりもいない。みんな目を輝かせて歌を聴いている。ものすごい集中力。
「京成線」は発声練習をしながら、「わたしと小鳥とすずと」は、きょんなむさんに手話の手ほどきをしてもらってみんなで一緒に。
その後、小学生たちがチャングを身体にむすんで踊りながら演奏してくれた。そのお礼に私もチャングをたたきながら「ミリャンアリラン」を歌う。すぐに「アリアリラン、スリスリラン」と一緒に口ずさんでくれる。
最後は小学生たちと一緒に「故郷の春」と「朝露」を韓国語と日本語で歌う。正確な発音ときれいなコーラス。和子さん、どんだけ仕込んだのかしら、と思って聞いてみたら、「みんな勝手におぼえちゃうのよ、おほほ」ですと。ほんまかいな。
きょんなむさんも友人のエム・ナマエさんの絵本を2冊、読み聞かせをしてくれた。きょんなむさんの大熱演に、こどもたちは大喜び。きょんなむ姉さん、新境地開拓デスネ。
いなほ保育園のこどもたちは、野生児のように庭で手づかみで給食を食べ、一日中裸足で土の庭園を駆け回り、木に登り、手作りプールで泳いで遊ぶ。そして、歌い、笑い、跳ね、踊る。幸せなこどもの時間。
こころとからだにいっぱいの愛と栄養をもらって、この子たちはどんなステキな人に成長するんだろう。たのしみたのしみ。

「いなほ保育園の十二ヶ月」
北原和子著 (聞き書き塩野米松)
岩波書店刊